背景

2022年1月21日、米国移民局(USCIS)は、雇用ベースのグリーンカード申請のカテゴリ間の「申請の基礎の移行」(通称「インターファイリング」)に関する新しいガイダンスを発表しました。今年度(2021年10月~2022年9月)は、雇用ベースのグリーンカードの発給数が通常よりも多いため、要件を満たす申請者は、グリーンカードへのステータス切替え(AOS)申請の基礎を、EB3からEB1またはEB2のカテゴリに変更するよう申請することが奨励されています。今年度のグリーンカードの発給数が通常よりも多い主な要因は、昨年度からの持越し分の家族スポンサーベースのグリーンカード発給枠(約14万件)があるためです。

例えば、現在まだ優先日がcurrentになっていない雇用ベースのEB3カテゴリのAOS申請(I-485)を待たれている方で、既にEB2カテゴリでI-140移民申請(I-140)が承認されているまたは申請がペンディングであって、EB2カテゴリならば優先日がcurrentになっている方については、I-485申請の基礎をEB-3からEB-2に移行するよう要請すべきです。

EB-3の優先日がEB-2よりも先にcurrentになっていたため、何千人ものグリーンカード希望者がEB-3カテゴリでI-485申請を提出できるようになったのが、ちょうど1年余り前の2020年10月のことでした。EB-2カテゴリからEB-3カテゴリに「ダウングレード」された人もいました。しかし、その後、EB-3の優先日は2021年初頭に後退しはじめ、多くの申請者の方にとってEB-3はもはや最も早く優先日がcurrentになるカテゴリではなくなりました。(I-485はそれより前に提出できるものの、)USCISがグリーンカードを発行できるのは、優先日がcurrentになった場合に限られます。2021年12月、ついにインドと中国の国籍の方についてEB-2の優先日がEB-3を上回り、2022年3月現在もEB-2の方が早くcurrentになる状況が続いています。

当然ながら、この1年の間に生じた優先日の前後の変化により、EB-3カテゴリでI-140の承認を受け、I-485の申請がペンディングの方が、より早く優先日がcurrentになるEB-2カテゴリにI-485を移行し、審査を早めたいと希望されるケースが多くなっています。

申請プロセス

2022年のガイダンスでは、以下の基準をすべて満たす場合、USCISはその裁量でカテゴリ間の移行を許可することができるとされています。

  • AOSの申請を行う適格がある。
  • 元のカテゴリのI-140に基づくAOSの申請はまだペンディングの状態である。
  • 新しいカテゴリで申請する要件を満たしている。
  • 新しいカテゴリではすぐにグリーンカードが取得できる状態である。

グリーンカード申請者は、ペンディング中のI-485の基礎を他のカテゴリに移行するようUSCISに書面で要請する必要があります。

  • I-140が既に承認されたカテゴリへの基礎の移行を申請する場合は、I-485補足書類J "Confirmation of Bona Fide Job Offer or Request for Job Portability" (補足書類J)を移行申請時に提出することが必要です。
  • I-140がまだペンディングのカテゴリへの基礎の移行を申請する場合は、補足書類Jを提出する必要はありません。
  • I-485を新たに提出する必要はありません。移行を要請するための申請料金もかかりません。

USCISから、移行申請に対して書面での回答はありませんが、補足書類 Jの受領通知は発行されますので、申請者は少なくとも申請が受領されたことを確認することが可能です。

2022年9月30日までに提出される補足書類Jを伴う移行申請は、以下の宛先に書面にて提出する必要があります。

Attn: I-485 Supp J
U. S. Department of Homeland Security
USCIS Western Forms Center
10 Application Way
Montclair, CA 91763-1350

補足書類Jが添付されていない移行申請は、ペンディングのI-485を管轄するUSCISオフィスに書面で提出する必要があります。すでにUSCIS事務所に移行申請を提出している場合は、新たに申請する必要はありません

新規にI-140に提出して移行申請を行う場合は、I-140フォームの通常の提出先に提出する必要があります。

その他の事項

USCIS Public Engagement Divisionは、移行申請には、少なくともUSCISが申請の根拠となるペンディングのI-485およびI-140を特定するのに十分な情報を含めることを求めています。また、上記のI-485 Supp Jアドレス宛には、健康診断の結果を送付してはいけません。健康診断の結果の提出が必要な場合は、RFE(Request for Evidence)でUSCISから提出要求がされます。さらに、USCISが移行申請を許可した場合、移行によって、AC21ポータビリティ規定の資格を得るための180日間の計算はリセットされることにご注意下さい。

詳細は、USCISウェブサイト(  USCIS website)のEmployment-Based Immigrants用のグリーンカードのページにある "Transfer of Underlying Basis "タブ、および USCIS Policy Manualをご覧ください。

Original version in English  here.

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